鍵屋の苦労話


どんな仕事でも苦労する場面に遭遇することがあります。ここでは滋賀の鍵屋の、開業から現在までの様々な苦労話をつづっています。カギ屋ならではの苦労話です。
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カギ屋ならではの苦労話。滋賀県近江八幡市の鍵屋、キー・ロック・サービス湖東・湖北エリア出張所

 

「初めまして」から「毎度有難うございます」へ

鍵屋に限らずどんな商売でも開業したての頃はすぐには仕事が入らず苦労するものです。私は本部代表に師事し修行を経て平成14年9月に開業しましたが、仕事は自分で得るもの、と固く教えられ本部からの紹介は全くない状態からのスタートでした。A3のコピー用紙を大量に購入し、両面コピーで4等分してチラシつくりをし、日中はポスティング作業の日々。滋賀県中の住宅街を回りました。夜は弁当工場でアルバイト。そんな日々が1年くらい続いたある日、チラシをご覧になられたお客様からポツ、ポツと仕事依頼のお電話を頂けるようになりました。「初めまして、どうぞ宜しくお願いします!」と元気に振舞ってお仕事させていただいたことを今でも思い出します。初めてこの商売でお客様からご料金を頂いた時の喜びは格別でした。日を追うごとに仕事の量が増えてきてやっと鍵屋だけでやっていけるようになったのは開業して2年以上経ってからです。そのころからリピーターのお客さんからのお電話が増えだしてきました。お隣さんの玄関の鍵を見てくれる?とか息子がバイクのキーを失くしたので作ってください、など。「毎度有難うございます!」と再び元気を振舞ってお会いした時の喜びは何物にも代えがたいものですね。苦労してきた甲斐があるなという気持ちと同時に初心を忘れないで日々精進していかなければという気持ちが交錯する毎日を過ごしています。


自分でインロック開錠?

鍵屋の仕事って暇なときは暇なのですが忙しい時には目から火が出るほど忙しいんです。ある日、一戸建住宅の玄関に暗証番号式のデジタルロックをつけているときに一度に複数件の緊急出動依頼が入りました。とにかく、今受け持っている仕事を確実に仕上げるために全力を尽くし無事取り付け終了、さあ次の仕事に向かおうとしたその時!何を思ったのか、運転席の座席の上に車のキーを置いたままインロック...一瞬凍り付きました、あーナサケナイ。思わず鍵屋さんを呼ぼうかと思いました(笑)とりあえず開けないと次に進めないのでお客様から針金とヘアピンをお借りし、即席で開錠工具を作りなんとか開けました。鍵屋がカギ閉じこんでどないするねん!と独り言をつぶやきながら次に現場へ走りました。「急いては事を仕損じる」、肝に銘じておきます!


空中戦?

とあるマンションの3階一室の鍵開けに出向いた時の話です。奥様がベランダで洗濯物を干している隙に小さなお子様がベランダ窓のクレセントをかけてしまったとの連絡がちょうど隣の奥様からあり出動しました。ベランダに閉め出された奥様と隣の部屋の奥様は知人関係にあり、大声で助けを求められたそうです。私は現地に到着後、玄関のカギをチェック。GOAL社製のPX-K(V18シリンダー上下2箇所)だったので玄関からの解錠は難しいと判断、お隣の奥様にお願いし、ベランダ伝いに隣のお困りの奥様のベランダへ移動させていただきました。しっかりとした作りのベランダだったため足元さえ滑らさずに気を付けていれば大丈夫と確信し慎重に移動しました。移動後はほんの数分でクレセントを解除でき奥様も一安心されていました。玄関のカギを破壊して開ける方法も考えましたが非常に時間がかかることと破壊後の交換を含めると高額な料金となってしまうためやむを得なく今回の方法を選びました。現場の状況に合わせて臨機応変な対応が求められるこの仕事。ですが自らの命を危険にさらすような方法は慎まなければ、と事務所に帰って我が子の顔を見た瞬間に思いました。


あらら、バラバラに...

玄関ドアの錠前の調子が悪くなったので見てほしいと連絡があり出動。現場に着いた時にすぐに目に入ってきたものとは?お客様ご自身で取り外し、バラバラに分解された錠前が玄関先に転がっていました。錠前内部のすべてのパーツが取り外された状態。ラッチボルトの動作が悪くなったので自分で分解し直そうと思われたらしく、途中で訳が分からなくなってお電話をされたそうでした。よく見るとラッチボルトの戻し用のスプリングが折損していました。予備のスプリングを用意し、いざ組付けをしようとしてもどう組んだらいいのか、プロの私でさえ迷ってしまう始末。通常、錠前の故障修理では分解する直前の写真を撮り、組付け時の参考にするようにしていますが、この日はすでにバラバラ状態。部品の形状を見て理屈通りに動作するように少しづつ組付けていきました。何度も「あれ?違うなあ、このパーツはこっちでこの方向か...」と一人つぶやきやり直しながらトライすること30分。やっとの思いで組付けに成功しました。。。


住所が無い!?

全国対応型の大手さんからの出動依頼で「滋賀県米原市一色〇〇番地へ急行してください!」との依頼を受け向かいました。ナビにも出てこない住所、まあ近くまで行ってからお客様に聞いたらいいか、と思いながら向かいました。そしてお客様に電話で住所の詳細を聞いたのですが...なんと”一色”ではなく”野一色”ということでした!再度ナビで今度は野一色の住所を検索してみると今度はちゃんと表示され、約15分遅れでお客様のところに到着しました。私達が直接お客様から受ける際には住所をよ~く確認してから出動するのでこんな間違いはありません。やはり受付とスタッフの間にワンクッション入れるとこういう間違いが起こりえるんですね~。現場でお客様にただひたすらお詫びし、やっとのことでお許しを頂きました。


アンタらもか!?

「ネットで”到着5分!”とか書いている鍵屋さんに電話したら京都、名古屋、大阪から出動で2時間以上かかりますと言われた、アンタたちもそうか!?家の鍵、早く開けてほしいんやけど!」と真夜中に突然受話器に怒鳴り声が聞こえてきました。ちょ、ちょっと待ってください、どういうことですか?と問いただすと、そういうことだったんです。私たちは地元滋賀で営業しているので大丈夫ですよ、15分程度で到着しますよ、と伝えると、今までの怒鳴り声が信じられないくらい優しい声に変りました。後々、滋賀県の鍵屋さんを検索すると今回のような記載がされているお店が多いことに気づきました。それはそれで別にこちらが干渉する権利もないので良いとは思いますが、こちらまで一緒と思われるのはちょっと辛いです。もう少し正直に記載してほしいものです。


背後にパトカー?

真夜中のマンション駐車場でのこと。車の解錠およびキーの作成業務をしている真っただ中、立ち会って頂いていたお客さんがコンビニで暖かいもの買ってくるね、といってその場を離れられました。しばらくすると赤色灯を点けた車が近づいてきました。そう、パトカーだったんです。お客さんがこの場を離れている間、私一人で作業していたのを住民の方が見つけ、怪しいと思って警察に通報されたようでした。お客さん本人の誓約書のサインと免許証番号、車検証を警察官に見せ事情を説明している最中にお客さんが戻ってきてくださり事なきを得ましたが、私の仕事姿ってそんなに怪しかったのかな...(笑)


気分が乗らない仕事もあるんです。

どんな職業でも気分が乗る仕事、そうでない仕事ってありますよね。私たち鍵屋の仕事といえばカギ交換、解錠業務・失くした鍵の復元(紛失キー作成)、錠前の取付け、故障修理が主となってきます。どの仕事もとてもやり甲斐を感じながらやっていますが、中には気分がのらない仕事もあるんです。ご連絡が取れなくなった身内様や知人様宅の解錠作業(安否確認)や強制執行に伴う住宅解錠作業。警察官や執行官が見守る中での作業は相当なプレッシャーを感じます。それだけで済めばいいのですが、最悪の事態を想定しながら(お身内様、知人様の容態、強制執行時の思わぬハプニング。どういうことなのか、ご想像できますよね)の作業となり気持ちが重たくなります。現に最悪の事態に遭遇することもしばしばあるので。何度経験しても気分が沈む仕事です。


工具が落下してきて頭を大怪我、病院へ。

店舗のガラス自動ドアの鍵交換をしていた時のこと。自動ドアの鍵交換は鍵メーカーによってはドアそのものを外してしまわなければなりません。この時はまさしくその作業中のこと。ドアを吊り上げているレールの上に工具を置き忘れ、真下で作業をしていました。突然誰かにぶん殴られたような感覚が襲ってきました。レールの上に置いていた工具が自分の頭を直撃したんです。タラリタラリと流れ落ちてくる鮮血。すぐに止まると思っていたのですが事務所に戻っても止まらず、家族に見てもらうと「こりゃ、あかんわ。パックリ傷口開いてる!」と言われ急遽病院へ。麻酔が効いてくる前に5針縫われました、痛かったですよ~。今回は自分の怪我で済みましたが、誤ってお客様に怪我でもさせたらそれこそ大変です。作業時の安全確認はしっかりと行わなければ、と反省しきりでした。


工具が壊れて。困った、こまった。

車のキーを作成するとき、スコープで鍵穴をのぞき、鍵山の段差を読み取ってキーブランクにカットして作るわけですが鍵穴の中は真っ暗なので電球の明かりを当てて見ます。ところが突然電球がつかなくなってしまいました。電球の明かりがなくなると、真昼間だったため周りの明るさで余計鍵穴の中が見えなくなってしまいました。さてどうするか...しばらく思案しましたが”勘”で対処することに。カギ穴内部の各部品の戻り音の大きさと工具先端から伝わる振動の大きさを感覚で捉え段差を判断して作ることにしました。何度も失敗し、切り損じたキーブランクが山のようになりましたが何とか無事に作成完了。日常の機材や工具への点検整備を怠ると大変なことになる、と改めて感じた時間でした。


スキー場到着寸前でスタック。

4年ほど前の冬、雪深いスキー場へ車のキーを作りに行った時のことです。片道90分かけてお客様が居られるスキー場の駐車場まであと少しのところで雪の急こう配を上がれずスタック。当時は4駆ではなく後輪駆動の軽バンにスタッドレスを履いていました。路面は夕方から降り出した雪がカチンコチンに凍り、完全な鏡面アイスバーンと化していました。タイヤはむなしく空転するばかり。仕方なく車を脇までなんとか移動させ、そこから徒歩で機材や電源をたった一人でお客様のところまで運びました。お客様にも大変ご迷惑をおかけしてしまいました。以来、4輪駆動車に乗り換え、雪のスキー場への出動も滞りなくこなせるようになりました。


大型連休も...休めません。

お正月やゴールデンウィーク、お盆などの大型連休時も私たちは働き続けています。県外からの観光のお客様が車をインロック(キーとじ込み)やキーを失くされたりするトラブルが多く発生しその対応で走り回ることとなります。また連休終盤になると故郷に鍵を忘れたり出先で家のカギを失くされたりするトラブルが多発します。ほとんど休む時間がないくらいに忙しい職業が車のロードサービスでおなじみのJAFさんと私たち鍵屋かもしれません。家族サービスもままならないので家族の不満が爆発する時期でもあります(笑)これはこの職業に携わる者の宿命といえるでしょう。でも強い使命感を持って仕事に励んでいます。プロ意識をもって仕事に臨めば素晴らしい充実感を味わうことができる仕事でもあります。


緊急車両のようには...いきません!

真夏の炎天下の中、車の中に小さなお子様が閉じ込められるトラブルに対応することがあります。そんな時はできるだけ早く到着し解決してあげないと命に係わることもあります。しかし鍵屋の車は緊急出動とはいえ、パトカーや救急車、消防車のように緊急車両としての優遇がありません。信号が赤なら止まる必要もあり、渋滞に巻き込まれてもガマンしなければなりません。海外のように鍵の緊急業務も内容によっては緊急車両としての扱いをしてもらえるようになるといいのですが。。。なかなかそうはいかないのが実情です。いつも歯がゆさを感じながら出動してます。


ぼったくり業者と間違えられ。。。

サイトに記載している料金表をご覧になられお電話いただいたお客様。いきなり「現場で料金が変わることはないですね!以前、ぼったくられた経験があるんで!」とかなり強い口調でおっしゃいました。「うちは大丈夫です。料金表に記された以外の料金は一切発生いたしません、ご安心ください」となだめるので必死(笑)。その後受注し、すべての作業が終わった時点でお客様から事情をお聞きしました。以前、検索順位が常にトップにある大手広告サイトに依頼した際に電話で聞いていた料金の10倍近い請求金額を提示されことがあるそうでした。「”鍵のトラブル解決5000円~、5分で到着”なんてうたい文句は嘘っぱち!2時間待たされた上、80000円も取られたよ」とのこと。生活トラブル解決にはあるあるな事例ですね。口コミサイトでもその業者さんの素行ぶりは有名ですね。しかし最初にうちも同じだと思われたことは心外でした~。
地元警察からはトラブル解決業者からの不適正な料金請求にまつわるトラブルが絶えないので注意するようにと通達がありました。当店は正直料金で開業以来19年間やってまいりましたので、その点はご安心ください。


同時依頼は気まずいな...

鍵のトラブルで現場へ急行し作業を開始した直後、他の同業者さんが到着。お客様がお客様が慌てて同時に他業者さんにも依頼されていたことが原因のニアミスでした。ある意味、お客様側のマナー違反ですね。
当然、こちらが速く到着、作業着手したためその同業者さんは気の毒なことにキャンセルされました。互いに顔を合わせているためすごく気まずかったです。キャンセルされた業者さんはキャンセル料を請求されていました。それは当然のことですね。

 

 

<<苦労を忘れる瞬間>>

これまでいろいろな苦労話を綴ってきましたがそれらの苦労を忘れさせてくれる瞬間があります。それはトラブルが解決したときの、安心感に満ちたお客様の笑顔を見たときです。”ご苦労様、おかげで助かりました”の一言と満面の笑みが私たちの明日への活力の源となっています。 今日も明日も、これから先ずっと、お客様の笑顔に出会うために頑張っていきたいです。